甲狀腺機能低下症 · Hypothyroidism
疲労・浮腫・寒さへの敏感さと甲状腺機能低下症の関係、血液検査で確認する項目と、治療中でも残る不快感を診察でどのように診るかについてご案内します。
まず確認すること
症状が始まった時期や悪化する状況、併せて現れる不快感を確認します。
併せて区分すること
似ている疾患や既存の検査結果を照らし合わせ、可能性を絞り込みます。
このページで確認すること
主要な様相と鑑別基準、診察での確認手順まで順にご案内します。
一般的な検査では、血中の甲状腺ホルモン値(TSH・Free T4)を確認します。これらの症状は「陽虚(ようきょ)」によるもので、細胞がホルモンを活用する代謝環境自体の問題である可能性があり、これを「弁証(べんしょう)」によって診察します。
韓国医学の診断は、病院の検査とは異なる視点から診ます。どちらが優れているということではなく、異なる観点です。
重要情報をひと目で確認
- 脾腎陽虚・気血両虚・心腎陽虚・肝鬱の4つの区分に弁証(診断)を分けます
- 慢性疲労症候群・更年期症候群・うつ病・腎不全・橋本甲状腺炎との違いを鑑別します
- 体が重くむくむ感じを、脈診・腹診・問診で合わせて確認します
あなたの場合を、検査結果だけでなく原因の分類から見ていきます。
まずに知っておきたい内容
甲状腺機能低下症は、甲状腺からホルモンが十分に作られず、全身の代謝が低下した状態です。代表的な症状として慢性疲労、浮腫、寒さへの敏感さ、体重増加が現れ、ブレインフォグ・生理不順・脱毛・抑うつ感が伴うこともあります。体の「ボイラーの火力」が弱まった状態に例えられ、すべての機能がワンテンポ遅れて動くようになります。
韓方医学ではこれを 陽虚(陽虛) または 虚労(虛勞) の範疇と見なします。体を温め循環を促す陽気(陽氣) が不足し、全身機能が停滞した状態と理解し、首の部分だけの問題ではなく、全身の気力の問題としてアプローチします。
臓腑(臟腑)で見ると、この陽虚(ようきょ)は主に脾(ひ(脾)と腎(じん(腎)にあります。腎(じん(腎)の陽気は体を温める根本的な火種に相当し、これが弱いと腰・膝・下腹部が冷え、ひどい寒気を感じます。脾(ひ(脾)は食べたものをエネルギーに変え、四肢(しし(四肢)を司るため、脾陽(ひよう(脾陽)が弱いと消化が遅くなり、体がむくみ、手足が冷えます。腎と脾の陽気が共に弱まった状態を脾腎陽虚(脾腎陽虛)と呼び、機能低下症で最もよく見られる様相です。
ホルモン剤は不足している数値を補う役割を果たしますが、数値が正常範囲に入った後も疲労感や寒さが残る「不顕性」の状態がよく観察されます。血液検査は血中のホルモンの「量」を示すだけで、細胞がそのホルモンをどれだけうまく活用できているか(代謝環境)までは示さないためです。Baekrokdam 寒熱クリニックはこの代謝環境自体を弁証(べんしょう)で診察します。
同じ症状でもこのように分かれます
甲状腺機能低下症も、人によって気力が低下する様子が異なります。どの臓腑の陽気が不足しているかによって、臨床で観察されるタイプは大きく分けて4つあります。
脾腎陽虚型 (脾腎陽虛)
脾(脾)と腎(じん(腎)の陽気が共に弱いタイプです。腎陽が弱いためひどい寒気を感じ、腰・膝・手足が冷え、脾陽が弱いため消化不良や体のむくみが起こりやすくなります。機能低下症で最も一般的な様相であり、アプローチの方向性は根本的な陽気を温めることです。
気血両虚型 (氣血兩虛)
気と血が共に不足しているタイプです。顔色が青白く、少し動いただけで息切れし、無気力感が顕著です。脱毛や生理量の減少を伴うこともあります。
アプローチの方向性は、気血を補うことです。
心腎陽虚型 (心腎陽虛)
心(心)と腎(じん(腎)の陽気が弱いタイプです。心(しん)が精神を司るため、記憶力の低下やブレインフォグが現れ、動悸や無気力感を伴います。
アプローチの方向性は、心と腎の陽気を温めて循環を助けることです。
肝鬱(かんうつ)型 (肝鬱)
ストレスで肝気(肝氣)が滞り、代謝がさらに停滞しているタイプです。精神的な不安やもどかしさが強く、症状が感情の状態によって変動します。
アプローチの方向性は、滞った「気」を解きほぐし、循環を助けることです。
体質や随伴症状によってアプローチの方向性は異なり、経過を観察しながら詳細な構成を調整します。
では、私の場合はこの「陽虚(ようきょ)」はどこから来るのでしょうか。同じ機能低下症であっても、体を温める陽気が不足している様相は人によって異なります。そのため、その違いを把握するために4つのタイプに分けて考えます。
よくある誤解
「数値が正常なら完治したということだ」
血液検査は血中のホルモン量を示すだけであり、細胞がそれをどれだけうまく活用できているかは数値だけでは判断しにくいものです。数値が正常範囲に入った後も、疲労・浮腫・冷えが残る「不顕性」の状態は多く、この部分を代謝環境の観点から合わせて診察することが可能です。
「ホルモン剤と韓方管理は併用できない」
そうではありません。不足しているホルモンを補うのがホルモン剤の役割であり、韓方の弁証(べんしょう)は、その上に残る疲労・冷え・浮腫などの自覚症状と体質を合わせて診る補完的なアプローチです。服用中の薬を独断で調整することは危険ですので、必ず主治医にご相談ください。
「太るのは意志が弱いからだ」
機能低下症では代謝が遅くなるため、同じ食事や活動量でも体重が増えやすくなります。意志の問題ではなく、体の「火力」が落ちた状態と考え、代謝環境を合わせて整えることが役立ちます。
「寒がりなのはもともとの体質だから仕方ない」
特に寒さを感じるのは、体を温める陽気(陽氣)が不足しているサインかもしれません。単なる生まれ持った性質として放置するのではなく、原因となるタイプを検討する余地があります。
このようにタイプを分けてみると、これまで当たり前だと思っていたことが少し違って見えてきます。まずは診察室でよく見かける誤解から紐解いていきましょう。
似ていても確認すべき点
甲状腺機能低下症と症状が重なる疾患です。正確な鑑別が管理方向を決定する出発点となります。
慢性疲労症候群
甲状腺の数値は正常ですが、激しい疲労が持続し、代謝よりも自律神経の不均衡が主な背景である場合が多いです。
更年期症候群
顔のほてりや発汗が特徴ですが、機能低下症の疲労感や抑うつ感と重なることがあるため、ホルモン検査による区別が必要です。
うつ病
無気力や意欲低下が主症状ですが、甲状腺機能低下による二次的な抑うつ状態であるかを確認する必要があります。
腎不全・腎疾患
浮腫が共通していますが、尿の状態や血中クレアチニン値などで鑑別します。
橋本甲状腺炎
甲状腺機能低下症の最も一般的な原因である自己免疫疾患であり、免疫バランスを合わせて整える管理を併行します。
症状が似ていて混同しやすい他の状態との区別も必要です。以下は、その判断基準となるポイントです。
診察での確認事項
そのため実際の診療では、血液検査の数値とともに、腹診・脈診・問診で体が送るサインを読み取ります。
甲状腺機能低下症は血液検査(TSH・Free T4)で一次確認し、韓方では腹診(腹診)・脈診(脈診)・問診(問診)を加えて、弁証(原因の特定)を確認します。
- 腹診: 腹部の冷感・弾力・圧痛点を通じて、陽気不足の状態を診察します。
- 脈診: 沈脈・遅脈など、代謝が低下した脈象を通じて、弁証の深さを把握します。
- 問診: 寒さへの敏感さ、浮腫の様相、睡眠パターン、消化状態を確認し、原因を分析します。
- 数値は正常であるものの症状のみがある場合を、臨床では「不顕性甲状腺機能低下症」として区別して扱います。
このようにタイプと診断が整理されると、検査数値だけでは捉えきれなかった疲労・冷え・浮腫と体質に合わせて、今後の方向性を共に決定します。
甲状腺機能低下症についてよくある質問
血液検査の数値は正常だと言われたのに、なぜ体が重く、むくむ感じが続くのでしょうか?
血液検査は血中のホルモンの「量」を示しますが、細胞がそのホルモンをどれほど効率的に活用しているかは、数値だけでは分かりにくいものです。韓国医学ではこのような状態を「陽虚(ようきょ)」と理解し、代謝環境そのものを診察する方向でアプローチします。
甲状腺ホルモン剤を服用中ですが、韓方薬を併用することはできますか?
ホルモン剤を服用しながら、併行して相談されるケースが多くあります。数値と身体状態の変化を合わせて診察し、今後の方向性は主治医と相談して調整します。
寒熱(かんねつ)の観点では、冷えの傾向が蓄積していく過程であると考えます。
- 循環・陽気の低下原因が蓄積
- 身体の調節機能がそれに追いつかない
- 冷え症・循環低下の症状として現れると考えます
診療での確認プロセス
次に、症状がいつ、どのように変化するかを確認します
同じ疾患名であっても、不快感の現れ方は異なる場合があるため、従来の検査結果と症状の経過を合わせて確認します。
弁証(べんしょう)
脈診と問診で症状を詳しく確認します
脈診と問診で冷えの傾向と随伴症状を確認し、現在の状態に合わせたアプローチ方向を説明します。
処方の方向性を決定し、服用後の変化を確認します
問診と診察で確認した内容に基づき処方の方向性を説明し、調剤および服用後の変化まで同じ院長が確認します。
診療・コンテンツ監修 Baekrokdamの診療基準
甲状腺機能低下症、病名よりも経過をまず伺います
冷えが留まっている部位と回復速度、消化・疲労・睡眠、温度変化後の反応を合わせて確認します。同じ診断名であっても、身体の中で熱を作り分配する方法が異なるため、脈診・舌診・問診で確認した分類を韓方薬の処方と経過確認に結びつけます。
「検査結果だけでは説明できない不快感は、症状が始まった時から順を追って確認します。」
- 慶熙大学校 韓医科大学 卒業
- Baekrokdam韓国医学クリニック 代表院長
カウンセリングの前に
冷えが強い時間帯と部位、温めた時に効果が持続する時間、最近の検査結果と服用中の薬をメモしてください。
初診にて
一つの症状名だけで判断せず、発症時期・悪化要因・随伴症状を「寒熱(かんねつ)」の区分に分けて分析します。
治療を開始すると
不快感の強さだけでなく、頻度、回復時間、日常生活で変化した場面を基準に処方を調整します。




